I — Origin
仕事場、夕闇の縁で
四つの章で綴る、ひとつの観察の記録。光がうすくなり、地面が塩に変わり、つくるより先に耳を澄ますことを、ひとつの工房が学んでいく。
II · STONE / EMBER · f1.8
第II章 — 石
石の肌理は、すべての熱の時間を覚えている。
同じ岩のもとへ、同じ時刻に、一週間通った。撮るためというより、燠火のような光が、千の夕暮れに見つけてきたのと同じ亀裂を、また探りあてるのを見届けるために。仕事場はこうしてできている。近く、辛抱づよく、そして何かが何かへと移ろうその継ぎ目に、少しだけ取り憑かれている。
ここでは、あらゆる表面が記録だ。陽が沈んだあともなお石は温もりを抱え、ほんの数分だけ、半ば思い出のように内側から光を帯びる。抱えることと、手放すこと——そのあわいにこそ、すべての技がある。
Plate 02 — 風化した玄武岩、黄金の刻 · 1/60 · ISO 200
Filmstrip — Contact Sheet
ひとつの黄昏から、四つのコマ
第III章 — 霧
世界がやわらぐとき、語りはじめるのは輪郭のほうだ。
黄昏が砂丘の上へ一枚の霧を引き、すべてが言い分を失っていく。硬い線も、確かさもない——ただ温かな闇と、それに逆らって流れる淡い灰の息づかいだけ。目がとうに知っていたものを、二色の調子にそのまま委ねる。これは、何かが生まれる前の静けさだ。